梅酒の賞味期限はどのくらい?
長期保存方法をご紹介します!
今回は、梅酒の賞味期限について紹介します。
市販品も、手作り梅酒も、ちょっとしたコツをつかめば、長く、おいしく、楽しむことができます。
長期熟成に取り組みたいという方にも、役立つ情報が満載です。
石神邑おすすめの梅干し
市販の梅酒の賞味期限
うちの子、今年で16歳になるんですよ。
あ、梅酒の話です。
このコラムを執筆している時点で実に15年もの。人間だったら高校生になろうかという頃合いです。
なにしろ自分の手で仕込み、ご機嫌をうかがうように折々に揺らすなどしているので、愛着も強くなる一方。このまま20年、30年と末永く熟成させていけたら、と妄想を広げているときにふと思いました。
梅酒の賞味期限ってどれくらい?
というわけで、今回のテーマは「梅酒の賞味期限」です。
そもそもアルコール度数が10%以上のお酒は、正しく保管しておけば、まず腐ることはありません。
そのためか、市販の梅酒でも賞味期限が記載されている品は、案外少ないようです。
一般的な消味期限とてしては
◎紙パック=6ヶ月〜1年
◎瓶=1〜2年
という設定が多いようです。紙と瓶とで倍ぐらいの差があるわけですね。
どうしてこんなに違いがあるのかといえば、紙にくらべると瓶の方が通気性、密封性ともに高いから。
保存料を使っている商品であれば、低アルコールでも賞味期限が長めに設定されているので、市販品の賞味期限はケースバイケースと考えておくのがよさそうです。
市販の梅酒を開封した後は傷みやすい?
ご存知のとおり、賞味期限は「腐らない期間」ではなく、安全性や味・風味といった品質が維持される期間を示す目安です。
また、賞味期限が記されている食品パッケージには次のような一文も見かけます。
開封後は賞味期限にかかわらず、早めにお召し上がりください。
この一文からも明らかなように、賞味期限は基本的に未開封での期限を示すものです。開封後は様々な理由で品質の変化が起こりえるので、このようなお願い文が書かれています。
梅酒の場合、ご注意いただきたいのは、注ぎ口などに梅酒のしずくがついたままになっているケースです。
ほかのお酒とくらべると、梅酒は糖類が多く含まれています。注ぎ口あたりについたままのしずくは、先にアルコール分が蒸発します。あとには糖類だけが残り、その糖類にカビが発生するかもしれません。
カビ……。どこからともなく現れて、ここが自分の居場所だといわんばかりに居座っているあいつ。
こんなところにまで……。
カビを回避するためにも、注ぎ口はティッシュやキッチンペーパーで拭いて衛生的に保ち、紙パックでも瓶でも、開封後は冷蔵庫や冷暗所で保管することをおすすめします。
自家製の梅酒の賞味期限
最近はご自宅で梅酒を作られる方も増えており、どれくらいの期間、おいしく楽しめるのか、お問い合わせをいただくこともあります。
アルコール度数によっても変わってくるので、一概に「これくらい」とは回答できないのが申し訳ないところです。
ひとつの目安として言えるのは、アルコール度数35%のホワイトリカーを使った場合、2年ほどはおいしさが保たれる、ということ。ただし、保管方法は適切に。
また、より長期の保存、そして熟成を目指したいという方は、以下の点に気をつけてください。
- 梅を漬ける前に、容器をよく殺菌する。
- 定期的に容器を揺すってアルコールを混ぜる。
- 梅がしっかり液に浸かっているか確認する。浸かっていない場合は重石などで対策する。
- アルコールが蒸発しないよう、密封し、冷暗所で保存する。
- レシピよりホワイトリカーを多めに入れておく。梅1kgに対し+100mlを目安に。
- 飲むための梅酒を取り出す際、瓶の縁などについた梅酒は、その都度拭き取る。
- 漬けておいた梅は、1〜2年ほどで取り出す。
かくいう私も、これらのポイントを守りながら、15年ものの梅酒を育てています。
梅の実を取り出してから10年以上。
熟成が進むと風味が増して、おいしさも深まっていくので、じっくり、ゆっくり、お楽しみください。
自家製梅酒の正しい保存方法は?
梅酒好きの友人は、一人暮らしのときに使っていた冷蔵庫を、自家製梅酒専用の保存場所として活用しています。これを聞いたときは、負けた、と思いました。梅酒への愛情は負ける気がしないのですが、愛情で部屋のスペースが広がるわけではありません。
ごめんね、愛する我が梅酒。冷蔵庫は無理でも、とっておきの冷暗所を用意するからね。
とっておきの冷暗所、というのは、涼しくて、日光の当たらない場所。なおかつ日常的に目が行き届いて、ときどき揺すってあげるのに他のものを移動させたりせずに済む場所、でしょうか。
日光が当たると、梅酒に澱(おり)が発生したり、しつこい味に変化したりと、望ましくない影響が出てしまうので、ご注意ください。
また、蓋を開け閉めする際には空気中の雑菌が入るリスクがあります。蓋を開けるときには清潔な場所で。
開けたらできるだけ早めに閉めることもお忘れなく。
プラスチック製の容器はガラス製にくらべると空気を通しやすく、雑菌が繁殖しやすくなるので、できるだけガラス製容器を使うようにしてください。
梅酒が腐るとどうなるの?
最初に書いたとおり、アルコール度数が高ければ、まず腐ることはありません。
ありませんが、なにごとも絶対とは言えないのが、この世の常です。
そもそも梅酒が腐る、とはどういう状態を指すのでしょうか。
弊社の品質管理担当者に根掘り葉掘り聞いてきた結果、以下のような変化が見られたら、腐っていると判断していいとのことでした。
- カビが生える
- 梅は水で丁寧に洗い、水気を拭き取る。
- 酸味臭がある
- 刺激臭がある
- 酸味を感じる
- 舌がしびれる
なるほど、確かにどれも危険を感じさせるワードですね。
見た目でわかるのが「カビ」です。梅酒の表面に白い膜が張っていたら、飲まないように。表面ではなく、底に沈殿物やにごりが見つかった場合、これはカビではなく、梅の実に含まれるペクチンから生じた濁りや澱(おり)だと見ていいでしょう。食しても特に問題はありません。
次に判別しやすいのが、臭いでしょう。酸っぱい臭い、鼻にツンとくる感じがあれば、要注意です。
すこし舐めてみたときに酸味やしびれを感じた場合も、心のサイレンを鳴らしましょう。
君子危うきに近寄らず。君子でなくとも、梅酒の過度な酸味やしびれには近づかないように。
なにしろ数ヶ月から数年という長い時間をかけて作るものですから、しばらくお世話を怠っていると、望まない変化が起きてしまうことも。そうした事態を回避するためにも、ときどき揺すってあげて、たまに味見も試みながら、おいしさを育んでいきましょう。
完熟梅はペクチンの含有量が多いため、梅酒作りに用いるとにごりやすくなります。青梅を使うのが一般的なのは、皮の表面が固くてにごりにくいから、という理由もあるのです。
梅酒の賞味期限
まとめ
いかがでしたか、今回のコラム。
賞味期限といえば、近年はSDGsへの注目もあり、食品ロスの観点から話題にあがることもあります。
賞味期限を過ぎたからといってすぐに廃棄するのではなく、食べたり、飲んだりできそうな品は、できるだけ残さずに食べることが、未来を支えることにつながるのです。
私たちの取り扱う梅酒や梅干しは、もともと長期保存の可能な食品として親しまれているものですが、それでも、食べずに、あるいは飲まずに放置しておけば、廃棄という悲しい結果を迎えることも。
そうならないためにも、お客様に「すぐに飲んじゃうんだよね」とか「気づくと完食してるんだよね」とおっしゃっていただけるようなおいしい品を、これからもお届けしたいと思います。