梅干しの種の中身は食べられる?
捨てずに活用する3つの方法について
梅干し専門店が解説します!
今回は、梅干しの種について紹介します。
梅干しを食べたあと、そのまま捨ててしまうことの多い種ですが、料理に使ったり、
プラモデルの原料に使われたりと、実は様々な使い途が。奥が深い種の世界を覗いてみましょう。
石神邑おすすめの梅干し
梅干しの種 再利用方法
種も仕掛けもないのが手品。
種も使い途もあるのが梅な。
これから教えよう、最良の再利用。
種からはじめよう、最強の再利用。
さて、今回は「梅干しの種」についてのお話です。
梅干しの種といえば「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」という言葉を想起される方も多いでしょう。
梅の種の中には神様がいると、私も幼いころから聞かされて育ってきました。
種の中。つまり、イン・ザ・種。ならば韻を踏んで紹介してみよう。と考えた結果が冒頭の4行です。お好きなリズムで読んでください。
いやいや、ふざけているわけではありません。
梅干しの種についてお伝えしたいことを、ぎゅっと凝縮しているのです。
1粒食べれば1個残る、梅干しの種。
そのまま捨ててしまうのがあたりまえかもしれませんが、調べてみるといろんな使い途があるようです。
食に関することだけでなく、最近はバイオマスとしての利用も進んでおり、まさに最良、最強の再利用が実現しています。
これも梅干しの神様のなせる技なのか? その秘密に迫っていきたいと思います。
梅干しの種の中身は食べられる?
梅干しの種といえば、種の中身は食べられるのか、食べてもいいのかというご質問をいただくことがあります。
完熟梅の仁はアミダグリンが分解されているので中毒の心配もないのですが、青梅(未熟果実)の仁に含まれるアミダグリンは中毒の危険が高いため、絶対に食べないでください。
梅干しの種は割らずにそのまま利用しよう
さて、ここからは梅干しの種を割らずに利用する方法を紹介します。
まずは料理への活用方法を3つご紹介します。
魚料理の臭み取りに。出汁の味付けに。調味料のアレンジに。
どれも簡単なひと手間でできるので、ぜひお試しください。
梅干しの種は常温保存可能なので、石神邑のスタッフには種をストックしている者もいます。木の小皿に盛っておくと、リスが集めてきてくれたみたいでかわいいそうです。おしゃれな表現力、見習いたいと思います。
魚料理の臭み取りに
魚と梅干しをいっしょに煮ると、さっぱり味に仕上がっておいしですよね。とはいえ、どうしても酸味のある味付けになるので、そこは好みのわかれるところかもしれません。
魚を煮る際に梅干しの種を入れておくと、クエン酸をはじめとする有機酸のはたらきで魚の臭みを消してくれますが、梅肉とちがって酸味が強く残ってしまうということもありません。
種のストックがない、という方は、きゅうりの梅肉和えなどを副菜として作って、そのときに出た種を煮魚に使うと一石二鳥です。
適度な酸味がおいしい梅出汁
「このあいだ、うめだしを作ったんだけど」と上司に言われ「梅田市」を作ったのかとびっくりした思い出……。
いいえ、大阪の繁華街の話ではなく、お出汁の話です。
そもそも弊社の上司に梅田を作るような権力はありません。
それに梅田は大阪市。浅学を恥じるばかりです。
そうではなく、梅干しの種を使って出汁を作るのです。
上司に教わったレシピは、次のとおりです。
- ●梅干しの種/10個
- ●水/400ml
- ●鰹節/適量(上司は「たっぷり」派でした)
- お鍋に水と種を入れ、1時間ほど置いて味を引き出す。
- 鍋を火にかけ、沸騰してきたら中火にして20分ほど煮出す。
- 味見して、酸味がしっかり感じられたら鰹節を入れて、さっとひと煮立ち。
- 火を止めて、鰹節を濾したら完成。
さわやかなおいしさの梅出汁は冷奴やそうめんなど、夏の食事と好相性。と思いきや、温かいうどんのおつゆにも合って、お吸い物としてもいい感じです。
鰹節のほか、昆布を使うのもOK。分量はお好みで。種を多めに入れると酸味が増します。
種と醤油で刺身醤油に
調味料の「味変」にも、梅干しの種は活躍します。
料理の味を変えるのではなく、調味料そのものの味を変えるのです。
たとえば醤油に種を漬け込んで、梅醤油に。ほのかな酸味は、お刺身のつけ醤油としてもいい塩梅です。
梅醤油にはちみつを混ぜて甘味を足せば、やさしく、まろやかな味わいに。私は野菜のおひたしにこの、はちみつ梅醤油を使っています。
梅干しの種を酢に漬け込んだら、どうなるんだろう。それって梅酢?
いえいえ、梅酢ではなく「梅の種酢」です。実際に作ってみたところ、お酢にほんのり梅の風味が足された感じになりました。
酢の物に使ってみると、どことなく春を感じさせる、さわやかな味に。
味変という言葉は料理の味を途中で変えることを意味するのですが、梅醤油や梅の種酢を用意しておけば、いろんな料理の味変を楽しむことができそうです。
梅干しの種は捨てずに取っておけば
再利用できる
さて、最後に紹介するのはちょっとした変わり種。そう、種だけに。
なんと、梅の種を使った枕が販売されているそうです。固くてごつごつして寝心地がよくないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、種のサイズが人の指先ほどで、頭を載せると指圧を受けているみたいで、むしろ気持ちいいとか。
また、種には小さな穴が無数に空いていて、空気が流れて熱を拡散し、頭の蒸れを抑えてくれる効果もあるそうです。
もうひとつ、意外な使い途のひとつとして、梅の種から作られたプラモデルが販売されています。いわゆる「バイオマス」の取り組みで、ディスプレイ器具の制作・販売を行っている和歌山県の企業が商品化したことで話題を呼びました。
その名も「梅プラくん」。このプラモデルは、和歌山県内の土産物店で販売されているほか、ふるさと納税の返礼品にも採用されているそうです。
「必要は発明の母」というのが私の好きな言葉ですが、廃棄されていたものを使って新たなものを生み出すのなら「不要」もまた発明の母なのかもしれませんね。
まとめ梅干しの種 再利用方法
まとめ
東風吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 あるじなしとて春な忘れそ
ラップで始まり、和歌で終わる、今回のコラム。いかがでしたでしょうか。
こちらの和歌は菅原道真が詠んだもので、都から左遷されるときの心情が表れています。
歌に詠むぐらい梅を好んだ菅原道真は、人々から「天神様」として崇拝される存在となりましたが、「梅干しの種の中にいる」のはこの天神様のことだと言われています。
梅干しの種にこれほどたくさんの使い途があると知ったなら、道真公はどんな歌を詠んだでしょうか。
みなさんも、梅干しの種に注目して、感じたこと、味わったことなどを、言葉にしてみてください。
その際、石神邑の梅干しを選んでいただけると嬉しく思います。