梅干しにカビが生えてしまったら?
原因と対処法を紹介します!
今回は、梅干し作りにおいて注意すべき「カビ」について、予防法と対処法を紹介します。
口に入れてしまうと有害なカビについて、注意点をきちんと把握して、皆さんの梅干し作りに活かしてください。
石神邑おすすめの梅干し
梅干しにカビが発生する原因
来ましたね、この話題……。
梅干しを手作りするときに、気をつけなくてはならないカビ問題。
カビ……。どこからともなく現れて、ここが自分の居場所だといわんばかりに居座っているあいつ。
かわいい梅たちに、白だの黒だの目立つ色でくっついて「ええ、カビですけど」と平然としている、あのカビ……。
すみません。つい、カビにやられたときの感情が蘇ってしまいました。
心を落ち着けて、客観的な事実からお伝えしていきます。
そもそもカビの原因菌はどこにでも存在しており、20〜30℃の温度下であれば、付着した物の表面から栄養と水分を利用して育っていきます。悔しいことに完全な排除は無理とのこと。むむむ。
避けて通れないのであれば、いっそ迎え撃ってやりましょう。武将でいえば信長スタイルです。
対策を講じるには、敵を知るところから。まずは手作り梅干しにカビが生える原因を「漬け込み時」と「保存時」にわけて解説します。
漬け込み時の原因
漬け込みの際に考えられるカビ発生の原因は、以下の3つです。
あわせて対策も記しているので、参考にしてください。
① 梅を洗浄したときの水気が残っていた。
梅を洗ったあとは、キッチンペーパー等でしっかりと水気を切りましょう。
② 漬けるための容器や道具に
水分が残っていた。
または、消毒が十分じゃなかった。
容器や道具はアルコールで除菌し、水分が残らないよう拭きあげも徹底しましょう。
③ 塩漬けのための塩分が
少なすぎた。
カビは、塩分の高い水の中では活性しにくい性質があります。漬け込みの際は塩を控えすぎないように。また、重石をする際にはラップ等を用いて、できるだけ梅が空気に触れないようにしてください。
保存時の原因
カビが繁殖しやすい環境は、「湿度70%以上」「気温20〜30℃」「カビにとっての栄養分」という条件が揃った場所だそうです。
こうした環境をつくらないためにも、梅干しの保存は風通しのよい冷暗所を選ぶようにしましょう。
また、ホコリや汚れはカビの発育を促す原因になるので、保存時は密閉容器の使用をおすすめします。
塩分濃度が気になる方も、カビ対策として、漬け込み時には高めの塩分をおすすめします。
食べる前に「塩抜き」を行えば、塩分の心配も軽減されます。
★「塩抜き」の方法はコラム第3回をご参照ください。
梅干しに発生するカビの種類
梅干しに発生するカビは大きくわけて、白、青、赤の3種類です。白カビ
「白カビ」は食品全般に発生しやすく、その姿は綿を思わせます。口に入れても害は少ないのですが、中には毒性を持つ白カビもあるので、少量であっても口に入れないようご注意ください。
青カビ
青と言いつつ、黒っぽい斑点として現れるのが「青カビ」です。人体への害は少ないものの、そこはやはりカビ。食べると食中毒になってしまう可能性もあります。
赤カビ
付着するだけでなく、食品を腐らせていく。それが赤カビです。食べると嘔吐や下痢などの症状が出ることもあり、要注意です。
ここに挙げた3種類以外にも、梅干しに見慣れない色や模様を見つけたら「お主、カビか?」と疑ってみることをおすすめします。
梅干しの塩とカビの見分け方
「お主、カビか?」と眼光鋭く疑ってみたら塩だった、という経験、ありますよね。ありませんか……?
ここは「ある」という前提で話を進めさせてください。
梅干しに付着した白い物体が塩なのかカビなのか、見分けるポイントは質感です。つぶつぶか、ふわふわか。
つぶつぶで、固さのありそうな結晶タイプ。これは塩です。
一方、ふわっとした感じの、やわらかそうなタイプ。これはカビです。
「ふわっとした感じ」と言われても、その表現がふわっと抽象的で判別しづらいかもしれません。
そんなときは、白い物体をお湯につけてみましょう。塩はお湯に溶けますが、カビは溶けないのです。
しぶといですね、カビ。
梅干しにカビが発生したときの
対処法
梅干しの漬け込みから保存時まで、カビの予防的なことはすでに書いたとおりですが、それでもカビはやってくるかもしれません。
だけど大丈夫、あわてないで。カビが発生したときの対処法も紹介します。
漬け込み前の梅にカビを発見したら、その部分を取り除きましょう。カビが広がっていて傷みの激しい梅は、残念ですが処分してください。
容器で漬け込んでいるあいだ、あがってきた梅酢にカビが浮いていることもあります。その場合は、カビの浮いた部分をすくって捨ててください。
漬け込んでいる梅にカビが発生した場合は、その梅とともに隣接していた梅も取り出し、焼酎やアルコールで洗ってください。また、梅酢もいったん取り出して煮沸消毒しましょう。消毒した梅酢は、冷めるのを待って容器に戻してください。
もしも梅酢全体を覆うほどのカビが発生していた場合は、ほんとうに残念なのですが、すべて処分したほうがいいでしょう。特に青カビや赤カビは白カビにくらべても体に悪影響を及ぼす可能性が高いので、処分を。
昔ながらの陶器製の容器は温度変化も少ないので、そのぶんカビの心配も少ないといわれます。ただし、使用前には容器そのものの消毒も十分に行って、漬け込み前に水分の拭き上げもしっかりと。
梅干しにカビが生えると不吉?
今回のコラムを準備しているときに、同僚からこんなネタを教わりました。
「梅干しにカビが生えるのは、悪いことが起こる前兆だって。知ってた?」
知りませんでした。というか、カビが生えた時点で悪いことが起こっているのでは。
などという茶々はさておき、昔からの言い伝えらしいので調べてみたところ、「梅干しにカビが生える=生活空間にカビが発生する」ということなので、そこで暮らす人の健康を害する一因になりうるぞ、という警告のようです。
なるほど。梅干しに生えたカビが、さらなる凶事の可能性を示唆しているわけですね。
別の説もあります。自宅で仕込んだ梅干しにカビが生えるのは梅仕事をさぼっている証拠でもあり、ひるがえって、家のことで手を抜いていることになり、そんな生活態度では家族の健康管理もおろそかになってしまうぞ、という戒めの意味もあるとか。
なるほどなるほど。カビが発生しないよう注意し、もしも発生したときには迅速に対応する。そうした気配りが、ひいては家族や自分自身の健康管理にもつながるのですね。
とはいえ、何事も完璧にこなそうとすると無理が生じることもあります。あたりまえですが、生活というのは毎日のことです。おろそかになってはいけませんが、無理を続けるのもよくありません。
カビに限って言うと、原因菌を完全に除去するのは不可能ですから、万一、梅干しにカビを見つけても「ま、そういうこともあるよね。じゃあ対処しましょうか」といったスタンスで臨みましょう。
梅干しのカビ対策
まとめ
いかがでしたか、今回のコラム。
食品の大敵であるカビですが、予防法と対処法を知っておけば、そう過敏にならずにすみそうです。カビだけに。
といった具合に、冗談を言えるくらいの余裕をもって、楽しい梅干しライフを送っていただければと思います。
それから、梅干しだけに口を酸っぱくしますが、カビは口に入れないよう、くれぐれもご注意を。
先に書いたとおり、カビは塩分の高い水の中では活性化しにくい性質を持っています。
漬け込みのあいだ、かわいい梅たちがしっかり梅酢に浸かっているかチェックしましょう。
梅酢から顔を出していたら、その部分が空気に触れてカビ発生の原因となることも漬け込み時にはラップ等で密閉して、梅酢が足りない場合は追加してあげてください。
え? 梅酢がない?
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