梅干しの失敗しない干し方を解説!
ザル以外で干す方法も紹介します!
今回は、梅干しづくりにおける仕上げの工程「天日干し」について、「よくある質問」を集めてお答えします。
かゆいところに手が届くアンサーをそろえて、皆様の梅干しづくりを成功に導きます!
- ●天日干しに使うザルは、底が平で浅めの作りのものを選ぶ。
- ●梅をひっくり返すのは、朝の湿り気がある時間帯に。
- ●表面が乾いた梅をひっくり返しましょう。触りすぎないよう注意。
梅を干す道具は、通気性の良さなどから、竹製のザルがおすすめです。
竹製のザルがない場合は、食器用の水切りかごや、竹製のまきすなどでも代用可能です。
干す時間の目安は、三日三晩。干しすぎたときには梅酢に戻して、改めて天日干しを。
雨に濡れたらキッチンペーパーで拭くなど、きちんと対処しましょう。
石神邑おすすめの梅干し
梅干しづくりは「干し方」が大事。
おさえるポイント、お伝えします。
突然ですが、webサイトなどで「よくある質問」をチェックして安心すること、ありませんか? わたしはあります。
「ああ、ここが疑問なの自分だけじゃなかった」っていう安心感。
あるいは「やっぱりそこが知りたいよね!」と共感をおぼえることも。
仕事柄、梅干しに関するご質問をいただく機会も多いのですが、お客様とのやりとりにおいても「やっぱりそこが知りたいですよね」と言いたくなることがあります。
梅干しに関する知識も経験も乏しかったころの自分を思い出して、質問された方に気持ちがシンクロしてしまうのです。
今回のコラムは、そんな「よくある質問」の中でも「干し方」についてまとめてみました。
題して「梅干しの『干し方』に関するFAQ」です。
ところで「FAQ」は何の略かといいますと、「Frequently Asked Questions」の頭文字をとったものとのこと。直訳すると「頻繁に問われる質問」となります。
個人的な話ですが、「FAQ」の3文字を見るたび「ふと、あらわれる、クエスチョン」と読んでしまうのは、きっと私だけでしょう。
さておき。
「梅干しづくり」本編については 「vol4 梅干しの作り方・漬け方について。【昔ながらの作り方も解説】」、
「vol5 梅干しの作り方・漬け方について。【少量レシピ】」で詳しく解説しておりますので、そちらをご確認ください。
なぜ梅を干すのか?
やや。これは哲学的な問い……。ではなくて、素朴な疑問ですね。
なぜ梅を干すのか。
いわゆる「天日干し」を行うことで水分が蒸発するとともに、日光の殺菌効果によって保存性もアップするからです。
梅干しに限らず、干物全般がもともとは保存食として作られた品であり、科学技術が未発達だった時代から、人が「干す」効用を知っていたことの証でもあります。
塩漬けにした梅を干さずに食べる「梅漬け」もありますが、保存期間は干したものより短くなります。そういったことも、昔の人々は経験から学んだのでしょう。すごいな、ご先祖様。
ご存知のとおり、天日干しすることで、色や食感も変わっていきます。そう。ねっとりした食感と、美しく赤い色。
なぜ梅を干すのか?
「おいしく食べるため」という答えも、間違いではないのかもしれません。
なぜ梅を干すときザルを
使うのか?
ザルを使うのが定番と思って生きてきたので、この質問には、はっとさせられました。テレビ司会者であれば「いい質問ですね」と返すところです。
梅干しづくりの達人たちに確認したところ、「通気性がいいこと」「夏の日差しを浴びても熱くなりづらい」「竹に抗菌作用があるから」といった回答でした。
たしかにザルは通気性がよく、金属と違って日光を浴びても熱くなりづらいという利点があります。
抗菌作用については、「古くから竹の皮で食品を包んでいたことからもあきらか」とのこと。おにぎりや和菓子、笹寿司や笹かまぼこといった品もそうですね。ふむふむ。
達人の皆様、ありがとうございました。
って、これじゃ私がただの質問者みたいじゃないですか。
名誉挽回のため私からもひとつ、ザルを使う理由を。
梅を干す際に、梅と容器の接着面が少ないほうが、まんべんなく乾きます。ゆえに、隙間のあるザルを用いることで接着面を減らした方が効率的、というわけですね。
ちなみに、天日干しに使うザルは、底が平で浅めの作りのものが適しています。
竹製のザルがない場合は
どうすればいい?
竹製のザルをお持ちでない場合の代用品として、ここでは4つを紹介します。
プラスチック製のザルや食器用水切りかご
少量しか干さない、という方へのおすすめはキッチン雑貨を使う方法。いずれの品も100均で手に入るものです。ご注意いただきたいのは「プラスチック製」であること。金属製のものを使うと、梅干しの酸によって変質したり、錆びたりする恐れがあります。
竹製のすだれ・まきす
夏の日差しをやわらげてくれるすだれ。こちらもホームセンターや100均で購入可能です。すだれのいいところは、サイズが豊富なので、干す量やスペースに適した品を選べる点です。 ごく少量の梅を干すならば、巻き寿司などを作るための「まきす」も便利です。
干網
ベランダや軒先で干したい方におすすめ。網の目が細かいので、ゴミなどがつく心配が少ないのもメリットです。もともとは魚の干物などを作る際に用いる品なので、梅の季節が終わったら、おいしい干物にもチャレンジしてみてください。
お盆+クッキングペーパー
お盆にクッキングペーパーを敷いて、その上に梅を並べて干す、というやり方でも梅干しづくりは可能です。ただし、通気性のよいザルなどに比べると、くっつきやすいという難点も。
代用品を使う際の注意点
「すだれ」など、食品用ではない道具を使う際には、防カビ剤や毒性などの心配がないものを選ぶようにしましょう。また、使用前によく洗い、一度、天日干しすることをおすすめします。
「すだれ」や「まきす」に梅を並べる際は、色移りなどを避けるため「ひも」部分に置かない、という方も多いようです。
梅を干す日数はどれくらい?
ひとつの目安として「三日三晩」という、古くからの教えがあります。
とはいえ実際には、梅の粒の大きさや、干すときの天候・湿度によって微調整が必要です。
梅の粒が小さければより速く乾燥しますし、大きい粒ですと長く干さなくてはなりません。
ちょっと手間かもしれませんが、干す際には梅の状態をときどきチェックして、表面が乾いて白っぽくなったらひっくり返してください。1度ひっくり返したのちに、1〜2日経って裏側も乾けば完成です。
日の当たる時間帯にひっくり返すと、乾燥した梅がザルなどにくっついているので、朝の湿り気がある時間帯にひっくり返すことをおすすめします。
ネットなどでは「毎日必ずひっくり返す」方法も紹介されていますが、梅に触る回数が増えるほど、実をつぶしたり、皮を破ったりといった可能性も高くなります。時間で決めるのではなく、表面が乾いていることを確認したうえで触る(ひっくり返す)ようにしましょう。
ちなみに、真夏の天日干しと真冬の天日干しでは、完成までに要する時間が倍ほど違ってきます。真冬に干すことはあまりないかもしれませんが、ご参考まで。
干し過ぎたらどうする?
忙しい日々の中、ひっくり返すのを失念した、取り込むのを忘れた、ということもあるかもしれません。干しすぎて硬く、しわしわになってしまった場合には、一旦梅酢に戻してあげ、柔らかくしてあげてください。その後、再び天日干しを行いましょう。その際には干す時間を短めにしてかまいません。
雨や曇りの日に梅を干しても大丈夫?
大丈夫か否かで判断するならば、大丈夫ではありません。
干している梅が雨に濡れると湿ってしまうだけでなく、カビの心配も出てくるので、衛生的にもマイナスです。
もし干している最中に雨が降り出したら、室内に取り込むか、ビニールなどを隙間なくかぶせて梅を守りましょう。とにかく濡らさないよう、ご注意ください。
曇りの日に干すのはOKですが、乾きが遅くなるので、干しておく時間が長くなります。また、雨は降っていなくても湿度が高い日が続くようであれば、風通しのいい場所に干すようにしてください。
すこし濡れた程度であれば、キッチンペーパーなどを用いて梅やザルについた水滴を拭いてください。カビの心配がある場合は、アルコール度数35%以上の焼酎を霧吹きで吹きかけましょう。あとは自然乾燥にまかせて、おひさまが顔を出したら天日干しを再開してください。
天日干しはいつ始める?
「土用干し」という言葉が示すように、梅の天日干しは梅雨の明けた7月20日頃、好天が続く「土用」に始めるのがよいとされています。
梅干しの「干し方」に
関するFAQ まとめ
「梅干しの『干し方』に関するFAQ」、いかがでしたか。
これから梅干しづくりにチャレンジしてみようかな、という方は、ぜひ本コラムもご参考にされてください。
また、今回の質問の中に知りたいことが書かれていなかったという方は、石神邑までご連絡ください。
梅干しのプロとして、できるかぎり正しくお答えしたいと思います。