【簡単】しょっぱい(酸っぱい)梅干しの塩抜き方法!
梅干し専門店が分かりやすく解説します。
梅干しには、強力な殺菌作用や健康効果もあって、積極的に摂りたい食品ですが、一方で塩分が気になるのも正直なところ。今回は、水を使ったしょっぱい梅干しの塩抜きの仕方や、塩抜きする際に気を付けるポイントを紹介します。
石神邑おすすめの梅干し
梅雨のまっただなかに、梅は収穫期を迎えます。
この時期には青梅をお求めのお客様も多く、美しい梅の実を、私たちも胸いっぱいの誇りとともに送り出しています。
石神邑では梅酒や梅シロップ用の「青色」と、梅干しやジャム用の「黄色」という、2種類の青梅を販売していますが、おかげさまで、どちらもすぐに売り切れる人気商品です。
人気の高さゆえか、梅干しや梅酒の作り方について、お問い合わせをいただくことも。特に梅干しをつくる際には、塩の多さに驚かれることがあるようです。
とはいえ、漬け込む際の塩を減らしてしまうと、保存性が落ちたり、梅が傷ついたりといった問題も。
そこでおすすめしたいのが、漬け込みの塩はそのままで、食べる前に「塩抜き」を行うという方法です。
梅干しの簡単な塩抜き方法
「塩抜き」とあたりまえのように書いたものの、こちらの記事を読んでいただいている方は、おそらく塩抜きの経験がないのではと思います。
私事ですが、以前、東京の友人に「梅干しの塩抜き」について話そうとしたところ、けっこうな勢いでびっくりされました。
「塩抜きってなに? 梅干しから塩を抜くの? アサリの砂抜きみたいな?」
アサリと同一視されるとは思いもよらず、こちらもびっくりしました。カルチャーショックというやつでしょうか。
自宅で梅干しを漬けることの多い和歌山では、わりと普通に塩抜きしています、多分。
スタンダードな方法を簡単に紹介すると、以下のとおり。
梅干しが浸かるくらいの水とともに容器に入れて1晩置くだけ。
あれ……、アサリの砂抜きと似てなくもない、かな……。
気を取り直して、もうすこし詳しく解説していきましょう!
塩抜きしたい!白干梅とは?
人はどんなときに塩抜きしたくなるのか……。
とつぜんの真面目トーンですが、日常的に塩抜きを目にしている者として、あらためて考えてみました。
自家製梅干しがしょっぱすぎるとき。
いただきものの梅干しが塩辛く感じられたとき。
お子様に梅干しを食べさせたいとき、という場面もありそうです。
あとは、健康面から塩分を控えなくちゃ、というときでしょうか。
たとえば石神邑でも定番&人気の白干梅。
こちらは収穫した生梅を塩だけで漬けており、塩分濃度は20%以上と高め。漬け込んだあと天日に干すことで、梅に含まれるクエン酸がぎゅっと凝縮されます。
塩辛くて酸っぱい、昔ながらの梅干しの味を生み出す工程です。
ネットや書籍で自家製梅干しのレシピをチェックしてみると、塩分濃度20%で設定されているものが多く、白干梅と同等といえそうです。
普段のお料理で使う塩にくらべれば、驚かれるのも無理はありません。塩抜きしたい、という気持ちにもなろうというものです。
塩抜きの方法と
用意するものについて
梅干しの塩抜きについて、以下に具体的な手順や注意点をまとめていきます。
まずは用意するものから。
◎梅干し……塩辛いと感じられるもの。塩分濃度20%前後のもの。
◎水……水道水でもミネラルウォーターでも可。
◎容器……ボウルやお椀など。アルミ製のものは使わないでください。
以上です。準備はできましたか?
それでは、作業へと移っていきましょう。
梅干しの塩抜きの方法
- 用意した容器に梅干しを入れます。そこに梅干し1に対して4の比率で水を注いでください。
目安は梅干し100gに対して、水400ミリリットルです。 - 水につけた梅干しの状態で7〜8時間ほど置いておきます。
- 時間が経過した後は、水切りを行います。そっとザルにあげてしばらく置いておきましょう。
すぐに食べたい場合はキッチンペーパーでやさしく包むようにして拭いてあげましょう。
はい。これで塩抜き作業が完了です。
塩抜きする際に気を
付けるべきこと
「用意するもの」のところで触れましたが、アルミ製の容器は使わないようにしましょう。梅の酸でアルミが傷んでしまうためです。
ステンレスやプラスチック、ガラス、陶器などの使用は問題ありません。
それから、梅干しを水に漬けると皮がやわらかくなるので、切れたり、潰れたりといったことが起こりやすくなります。水からあげるとき、水切りのときなどには、握るというよりは包む感覚で、やさしく扱ってください。
最も気をつけていただきたいのは、保存性の低下です。
もともと梅干しづくりでたっぷりの塩を使うのは、保存性を高めるためでもあります。
その塩を抜くのだから、保存性の低下は仕方のないところ。
ですから、塩抜きするのは翌日に食べるぶんだけにしておきましょう。
塩抜きしたけれど食べきれなかった場合には、冷蔵庫で保管して、なるべく早めにお召し上がりください。
もう一度天日干しを行ったり、梅酢に漬けたりすれば、保存性もすこしだけ回復します。
とはいえ、基本はやっぱり「食べるぶんだけ」でお願いします。
時間と目安について
今回の記事を書くにあたって、塩の抜け具合も調べました。以下が、その結果です。
梅干し約200g(5粒)に対して、水1リットルを使用。
8時間経過後の塩分濃度は11.45%。13時間経過後の塩分濃度は10.42%。
上記の塩分濃度は5粒の平均値です。この数字を見る限り、1晩で半分ほど塩が抜けた、といってよさそうです。
ご自宅での塩抜きを行う際の目安としてください。
実際には、梅干しの塩分濃度やサイズで、塩の抜け具合はちがってきます。
また、食べ物である以上、それぞれの好みの味というのもあるでしょう。
お好みの味にととのえるには、何通りか試していただいて、「これ!」と思える塩梅を見つけてください。
気温や水温が低いと塩が抜けにくくなるので、冬場の塩抜きは長めに時間をとるようにしましょう。
ちなみに、塩抜きを始めるときに水ではなくぬるま湯(40℃前後)を使うと、通常よりも早めに塩が抜けます。
冬場はもちろん、夏場でも「ちょっと早めに塩抜きしたい」ときには、ぬるま湯をお試しください。
はちみつで梅干しの塩抜きすると
おいしくなるって本当?
ネットで見つけた興味深い話に「はちみつで塩抜き」というものがありました。
え!? はちみつで塩が抜けるの? と思ったのですが、よくよく読むと「塩抜きした梅干しをはちみつに漬け込む」ということで、なるほど、それはおいしいです。石神邑の「蜜っこ」がその証です!
はちみつ梅がなかった時代、私の祖母は「塩抜きした梅干しに砂糖と醤油をかけて」食べていたそうです。甘じょっぱいので、おやつがわりになったんでしょうね。
梅干しの塩抜き方法
まとめ
さてさて。梅干しの塩抜きにまつわる今回の記事、いかがだったでしょうか。
梅干し専門店としては塩抜きを積極的に推奨するわけではないのですが、おいしさはおひとりおひとり違うものですから、塩辛さを我慢して食べるよりは、お好みの召し上がり方を見つけていただくほうがうれしく思います。石神邑では、すでにご紹介した「白干梅(塩分濃度約20%)」のほかにも、「うす塩味梅干(塩分濃度約8%)」や「蜜っこ(塩分濃度約5%)」など、いろいろな種類のおいしさをご用意しております。
また、5種類の梅干しで構成する「食べくらべセット」もございますので、まずはお好みの塩加減をさぐってみるのもおすすめです。
いままさに梅を塩に漬け込んでいるという方もいらっしゃるかと思います。
こちらで紹介した塩抜き方法も参考にしていただきながら、おいしい梅干しライフをお楽しみください!