梅干しの保存容器は何がいい?
選び方を解説します!
今回は、梅干しを最後の一粒まで美味しく食べるために欠かせない「保存容器」について紹介します。
容器の素材、形状、サイズ、いっしょに使いたい道具まで。自家製梅干しにも、市販品の保存にも役立つ情報です。
- ●消毒しやすく、錆びたりしない、ガラス瓶がおすすめ。
- ●金属、アルミは錆びるのでNG。プラスチックも色移り、におい移りのおそれ。
- ●サイズは、入れる梅干しの1.5〜1.8倍の容量を目安に。
梅干しを保存するための容器は、なによりもまず食品用を選びましょう。
熱湯での消毒や錆びたりしないことを考えると、ガラス製の密閉可能な瓶がおすすめです。
金属製、アルミ製は錆びるので避けてください。プラスチック製の容器は色移りやにおい移りのおそれがあります。
できるだけ密閉可能な蓋付き容器を選びましょう。
石神邑おすすめの梅干し
梅干しの保存方法は?
保存容器はタッパーでも大丈夫?
遠方に暮らす友人が梅干しをつくりたいというので、あれこれアドバイスしたことがあります。このコラムを担当する前のことで、いまなら「それコラムに書いたよ!」と伝えることもできるのですが、当時は電話やメールを使ってのやりとりでした。
無事に初めての梅干しづくりを終えた友人、よほど楽しく、出来も良かったのか、翌年には大量の梅干しをつくっていました。「そんな量、とても食べられないでしょう」と呆れると、「いろんな人に配りたい」とのこと。
「お裾分け用にジャムをたくさん食べた」とのコメントもついてきて、なぜにジャム? と一瞬首をひねりましたが、ジャムの瓶容器に自家製梅干しを入れて渡すということでした。
それから数カ月後、友人から小さな箱が届き、開けてみると、梅干しの詰められた瓶がひとつ入っていました。
――梅干し先生へ、今年の味の審査をお願いします。
そんな手紙も添えてあり、私が涙をこぼしたことは言うまでもありません。
やだ、いい話。
今回のテーマが「保存容器」だったため、つい、思い出を語ってしまいました。思い出は永遠に保存できますが、梅干しはそうもいきません。購入した品や自宅で漬けた梅干しを最後まで美味しく食べるには、どんな容器を使うのがいいのでしょうか。
入手しやすく使いやすい容器の代表といえばタッパーですが、プラスチック製容器に梅干しを入れると、においや色移りが心配です。また、耐熱性能が100℃以下のものだと熱湯消毒も難しいので、梅干しを数日入れておくぶんにはいいのですが、長期保存には不向きでしょう。
タッパー、私も日頃から愛用しているので、なんだか申し訳ないですが、梅干しのプロとして妥協はできません。
では、どんな容器がおすすめなのか。今回のコラムは、そんな「保存容器」をめぐるお話です。
梅干しの保存容器の特徴
梅干し向け保存容器の正しい選び方について、最初に意識していただきたいのは、食品用の容器を選ぶ、ということ。
あたりまえと思われるかもしれませんが、特に自宅で大量につくったときなど、手近にあるものに入れてしまう可能性があります。
食品用でない容器には化学物質が使われていることもあり、梅干しの酸の影響でそれらが溶け出してしまう恐れもあるので、要注意です!
とはいえ、「食品用の容器」とひとくちに言っても、素材はいろいろ。
おすすめしたいのは、最初に登場した瓶、つまりガラス製のものです。琺瑯の容器もおすすめです。
いずれも消毒しやすく、錆びがつきにくい、という特徴があります。ガラスの場合、煮沸消毒することも考えると、耐熱ガラス製のものがより良い選択です。
形状としては、梅干しの取り出しやすさ、また洗浄のしやすさを考慮して、広口のもののほうが便利です。
底が深すぎると、梅干しを詰めたときに下の方の梅干しが潰れてしまうこともあるので、ご注意ください。
それからもう一点。乾燥、雑菌の繁殖などを防ぐため、密閉性に優れた容器を選ぶようにしましょう。
保存に向かない容器は?
金属製、アルミ製、陶磁器のどれ?
では逆に「保存に不向きな容器」はどんな品か。
まず、金属製とアルミ製はおすすめできません。なぜなら梅干しの酸が金属を溶かす恐れがあるためです。
ほかの保存容器として、陶器や磁器も思い浮かぶかもしれません。陶製の壺に詰められた梅干しを見たことがあるという人も多いでしょう。
陶磁器は酸や塩分に強く耐久性が高いため、梅干しの保存にうってつけの素材といえます。厚みがあって温度変化の影響を受けにくいので、常温保存向きです。熱湯消毒しやすい面でも適していると言えそうです。
ただし、陶器や磁器を梅干しの保存に用いるには、ひとつ注意点があります。それは、密閉性の問題。最近はゴムパッキン付きの蓋がセットになった容器も販売されているので、そうした品も選択肢に入るものの、蓋部分がプラスチックだと、やはり色移り、におい移りが気になるところです。
陶磁器に梅干しを保存するとき、密閉性の弱さをカバーする方法があります。 それは「容器の口を覆うようにラップをかけ、その上から蓋をする」というもの。 密閉性を高めることに加え、プラスチック製の蓋を使っていても、ラップを挟むことで色移り、におい移りも軽減されます。 陶磁器をお使いの方は、ぜひお試しください。
保存容器は梅干しの種類で
選び方が違う?
続いてのトピックは、梅干しの種類にあわせて保存容器を変えたほうがいいのか問題。
結論から述べると、変える必要はなさそうです。
最近は梅干しにも減塩タイプやはちみつ梅など、多彩な種類がありますが、いずれの品も梅干しが基本であることに違いはありません。まず梅干しがあり、そこから塩を抜いたり、味を足したりしています。ゆえに、容器選びも基本はいっしょ、ということになります。
ただし、減塩タイプの梅干しは昔ながらの酸っぱい梅干しにくらべ保存期間が短いので、カビや乾燥の対策、風味が損なわれやすいことなども考慮して、密閉性の高い容器に保存することをおすすめします。
保存容器の大きさの選び方
つづいて、保存容器のサイズ問題。特に自宅で漬けた場合、年によってできあがる梅干しの量も変わったりするので、去年と同じ容器でいけるか、不安になることがあるかもしれません。
容器サイズの目安としては、梅干しの重量の1.5〜1.8倍の容量のものを選んでください。
市販の梅干しを保存容器に詰め替える際には、梅の個数や量にあわせて選びましょう。
それから、毎日梅干しを食べるわけではない、という方は、保存容器の扱いやすさも、選ぶときのポイントになります。
冷蔵庫の奥にしまっておくのであれば、持ち手がついていると取り出しやすいですし、狭いスペースに入れておくなら浅めの容器が適しているでしょう。
あると便利な道具
最後に、容器とは切っても切り離せない道具についてもアドバイス。
深めの容器に梅干しを保存した場合、出し入れの際に菜箸などをお使いになることでしょう。木製の菜箸、あるいはトング、どちらでも使いやすい品をご利用ください。
しつこいようですが、こうした道具類を選ぶ際にも、金属製のものは避けてください。錆びる原因になりかねません。
できれば、食事中に使っているお箸をそのまま保存容器の中へ、というのも避けてください。面倒かもしれませんが、梅干しに限らず、保存容器から食品を取り出すときは、清潔な状態の道具でお願いします。
梅干しの保存容器に
ついてのまとめ
「梅干しのための保存容器の話題」、いかがでしたか。
美味しさを保つためにも、適切な容器に入れて、適切な環境に置いてあげることが大切です。市販品の場合は賞味期限や保存方法のチェックもお忘れなく。
もしも食べきれそうにないな、というときは、小瓶に詰めてお裾分けを。
なによりも、最後の一粒まで美味しく食べるために。
梅干し先生との約束ですよ!
最後に、ひとつ宣伝を。
石神邑のオンラインストアでは、梅干しの保存に便利なガラス密閉瓶を竹トングとセットで販売しています。
イタリア製のかわいいガラス瓶に、日本製のミニトングを、保存はもちろん、お裾分けにもご利用いただけるお手頃価格です。ぜひ、ご活用ください!