【専門店監修】梅干しの作り方・漬け方について。
昔ながらの方法も解説します。
ご自宅で梅干しを作る方が、年々増えてきています。そんな皆様のお役に立てればと、今回は「白干梅」と「しそ漬梅干」の作り方について紹介します。
初めての方も、経験者の方も、ぜひ参考にしてください。
梅干しの作り方
石神邑おすすめの梅干し
梅干しの作り方
告白します。「よみもの」テーマを決める会議で「梅干しの作り方を紹介しよう」との意見が出たとき、「本当に教えちゃうの?」という考えがよぎりました。
しかも「白干梅」と「しそ漬梅干」の2種類を紹介と言われ、それは太っ腹すぎませんか、という言葉が出かかったほどです。
だけど、よくよく考えたら、梅干しの作り方に大袈裟な秘密なんてありません。私たち石神邑も、先人から受け継いできた製法を大切に守ってはいるものの、門外不出のレシピを隠しているわけではないのです。
大切なのは、心をこめること。そして私たちの願いは、「梅干しが、ひろく皆様の食卓に並ぶこと」です。
専門店の味にも、ご自宅の味にも、それぞれの魅力があるのですから。
それではまいりましょう。まずは白干梅の作り方から。
【白干梅】梅干し作りの流れ
今回は、どどんと10kgの梅を使うレシピです。「多すぎぃ!」と思われるかもしれませんが、梅干しとして完成すると約半分の5kgほどに。
重さ半減、おいしさ倍増。
キャッチコピーぽく書いてみました。
1日1粒の梅干しで医者いらず、なんて言葉もあるくらいですから、毎日梅干しを食べる方には、こちらを参考にたっぷり作っていただければと思います。
まずは作る工程を簡単に紹介します。
- 梅を洗って、水気を取る。
- 漬け込むための容器を準備する。
- 容器に梅を入れて塩漬けする。
- 重石を置いてしっかり漬け込む。
- 晴天が続く日に天日干しする。
これで梅干しはできあがり。あとは保存して、お好きなときに召し上がっていただくだけです。
それでは、材料と道具、作業工程について、詳しく紹介していきましょう。
材料・用意するもの
- ●梅(黄色く熟したもの)/ 10kg
- ●塩/1.8kg
- ●焼酎(消毒用)/少々
- ●竹串
- ●漬け込み用の容器/20〜25Lほどのサイズ。金属製のものは酸や塩分に弱いので、用いないでください。
ガラス、琺瑯、陶器などで、蓋付きのものがおすすめです。 - ●落し蓋/容器と同じく、金属製のものは用いないでください。平らなお皿でもOK!
- ●重石/ペットボトル+水でもOK。
- ●天日干し用ザル/平らなものがおすすめ。魚干し用の網でも大丈夫です。
- ●ふきん・ペーパータオル
- ●霧吹き(消毒用の焼酎)
梅に青みが残っている場合、洗う前・漬ける前に、風通しのよい場所に置いて追熟させましょう。梅干しがやわらかく仕上がります。 黄色くなって、桃のような香りがしてきたら漬け頃。南高梅以外の品種では完熟しないものもあるので、ご注意ください。
① 梅を洗い、水気をとる
梅についた汚れや雑菌を落とすため、水で丁寧に洗ってください。その後、ふきんやペーパータオルなどを用いて水気をしっかりと拭き取りましょう。
梅にヘタが残っている場合は、竹串などを用いて、やさしく取り除いてあげてください。
② 容器を準備する
霧吹きを使って、容器や蓋などに焼酎を吹き付けて消毒します。すみずみまで消毒したら、容器の準備完了です。
③ 塩漬けする
まずは塩を1/3ほど取り分けます。総量1.8kgなら、600gを控えベンチへ。
次に、消毒済みの容器に「梅→塩→梅→塩」と交互に入れていきましょう。
梅を一段分入れたら、気前よく塩をまぶし、また梅を一段分入れたら、塩をまぶし、という順番です。
梅をぜんぶ入れたら、取り分けておいた塩1/3を頂上にまぶします。塩包囲網の完成です。
塩は、結晶が粗く、にがり成分を含む「粗塩」がおすすめ。
精製塩は梅干し作りに不向きです。
④ 重石をする
塩で包囲しても油断は禁物。さらに厳重に守りを固めなくては。というわけで、塩に漬け込んだ梅たちの上に落し蓋をして、さらに重石をどん。
重石にも適量というのがあり、梅10kgに対して重石5kgがおすすめ。
私くらいになると夏に川遊びに行った先で「これは重石にいいな」と大きな石の品評会をやっちゃいます。
とはいえ石を持ち帰るのはNGなので、市販の漬物石などをご利用ください。ペットボトルにお水を入れて重石にしてもOKです!
ただし、ペットボトルを使う際は、梅にラップをかけて、その上に置くようにしましょう。梅が空気に触れないようにするためです。
「落し蓋+重石」の用意が難しい場合は、大きめのビニールに5Lの水を入れて梅の上に置いてください。
「ビニール+水」を用いる際には落し蓋は不要ですが、ペットボトルを使う場合と同様、水袋を置く前に、梅にラップをかけてください。直に水袋を置くと、カビ発生の原因にもなりかねません。
重石をしたら、ほこりがかぶらないよう、容器に蓋をするか、蓋がなければラップなどで上部を閉じてください。そのまま約1ヵ月漬け込みましょう。
塩漬けの期間中に梅から梅酢が出てきます。梅酢は腐敗を抑えるのに役立つので、漬け込みから2週間経っても梅が浸かっていない場合は、市販の梅酢を追加しましょう。
⑤ 天日干しする
石神邑では梅雨明けの時期、晴天が3〜4日続くと見込まれるときに天日干しを行います。
重石と塩から解放された梅の汁気を切り、ザルの上に間隔をあけて並べ、風通しと日当たりのよい場所で干しましょう。
夕方にはザルごと室内に取り込み、干した梅をひとつずつひっくり返します。
これを3〜4日続けると、白干梅の完成です!
天日干しすると、梅とザルがくっついて果皮がやぶれやすくなるので、夕方の少し湿気を持った頃合いにひっくり返すのがおすすめです。
⑥ 保存する
完成したから終わり、ではありません。なにしろ5kgの梅干しですから、保存のことも考えなくては。
基本の保存法は、密封瓶などに入れ、冷蔵庫や冷暗所に置いておくこと。もともと保存食ですし、白干梅は塩分濃度も高いので、あわてて食べる必要はありません。
【しそ漬梅干】梅干し作りの流れ
「しそ漬梅干」の作り方は白干梅とほぼ同様。塩漬けの後に「もみしそを加える」工程が加わります。
- 梅を洗って、水気を取る。
- 漬け込むための容器を準備する。
- 容器に梅を入れて塩漬けする。
- 重石を置いてしっかり漬け込む。
- 梅酢が出たらもみしそを加える!
- 晴天が続く日に天日干しする。
それでは「梅酢が出たらもみしそを加える」についてのポイントを紹介しましょう
もみしその下準備
白干梅の材料・道具に加え、「もみしそ」を用意してください。
梅10kgに対して、もみしそ1.4kgがおすすめの分量です。
もみしそは、ご自宅で作られるか、販売されているものか、いずれかを使います。
販売されているものは赤紫蘇を塩で揉んでアク抜きされた状態なので、手間を減らすことができます。
ご自宅で作られる場合は、以下の手順でご用意ください。
- 赤紫蘇2kgを用意して、茎などの太い部分は取り除き、水で丁寧に洗って、水気を拭き取る。
- 漬け込むための容器を準備する。
- 赤紫蘇に対して20%(400g)の塩を用意し、その半分を洗った赤紫蘇にまぶしてよく揉む。
- 赤紫蘇を絞り、出てきた赤黒い搾り汁(アク)を捨てる。
- 残りの塩をまぶし、もう一度よく揉んだあと、搾り汁を捨てて完成です。
もみしそを漬け込む
梅を塩漬けすると梅酢が出てきます。梅が梅酢に浸かるくらいたっぷり出たら、もみしその出番です。
まず、もみしそを鍋やボウルに入れておきます。
次に、梅を漬け込んでいる容器から梅酢をすくいとり、もみしその入った容器に移します。
もみしそがひたるくらいの量を目安に。
その後、梅酢が赤くなるまで、もみしそをほぐします。赤く染まったら梅酢をもみしそごと梅の容器に戻して、落し蓋をします。そのまま1〜2週間ほど漬け込みましょう。
あとは白干梅と同様に、天日干しを行って完成となります。
完成した梅干しは、白干梅と同様、密封瓶などに入れ、冷蔵庫や冷暗所で保存してください。
梅干しの作り方
まとめ
専門店監修の梅干し作り、いかがでしたか。
最後にもうひとつ。漬け込んだあとの梅酢も、下味用の調味料をはじめ、いろんな活用法があります。
この話題もいずれ「よみもの」としてご紹介できれば。
ご自宅での梅干し作りで、皆様の暮らしがさらに充実したものになりますように!